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東村山市中央公園周辺に住んでいると世界はこう見えています。偏見多めでしょうが。

思い返してみると、子供のころは引越しの多い人生だと思っていた。

幼稚園、小学校、中学校、高校とそれぞれ引越しをしている。

幼いころから同じ場所に住んでいる、ということを少しうらやましく思う気持ちもあったし、環境が変わったことを有難いと思っていたこともある。

ところが、そこからぴたりと動かなくなる。

大学に進学し、社会人になり、結婚するまで同じ場所に住み、結婚を機に実家を出たものの、ほぼずっと同じ場所に住んでいる。

何か理由があって引っ越していないと言うよりも、何も引っ越す理由がないので引っ越していない。

住環境が固定されている一方、勤務地は何度か変更している。

転職によるものもあれば、部署の異動に伴うもの、会社自体が移転したもの、など理由はさまざまである。

こんなことを考え始めたのも、今週末に会社の移転が行われたためである。

数えてみれば、7回の移転で8か所目の勤務地となる。

ところがこの8か所、最寄駅は4つ目なのだ。

しかも、同じ最寄駅で職場が変わったことはない。

あっちに行ってまた戻り、を繰り返していることになる。

と言うわけで、今回の引越先も初めての街ではない。

何度も通ったランチ処があり、喫茶店があり、コンビニがある街なのだ。

これは言い換えると、何年かおきに同じ場所に生息していると言うことであり、街の変化を感じるにはちょうど良い、とも言える。

街の変化と言うと、ビルの建て替え、お店の入れ替わり、などが思い浮かぶ。

これは、風景が変わると言うことである。

しかし、それだけにとどまるわけではない。

人が変わる、ということでもあるのだ。

人が変わるとは、二つのケースがある。

一つは、その場に生息する人の属性が変わるケースである。

最近、聞いた話だと、銀座のコリドー街のケースがある。

銀座の中でも比較的奥に位置するコリドー街は、新橋とも離れており、客層が大人中心だった。

しかし、近年は低価格を売りにしたチェーン店が多く出展してきており、若者が増えてきた、と言うのである。

同じような話は神楽坂についても聞かれる。

これを活気が出てきたと評価するか、文化が失われたと評価するかは難しいところである。

そして、もう一つは、本当に人が変わるケースである。

通いなれたバーのマスターが引退して若い人に代わっていた、なんてケースである。

わたしには通いなれたバーなんてないので、単なる想像でしかないが。

さて、引っ越してきたばかりのこの街には、週1回は通っていたカレー屋がある。

カレーは1種類で、トッピングがカツとかエビフライとかさまざまある、そんなお店である。

ところが、私はこのお店のカレーを一回、初回往訪時にしか食べたことがない。

実はこの店、カレーの他にラーメンを提供しており、私はラーメンが食べたくてこの店に通っていたのだ。

この店、10人ほど座れるカウンターの後ろに4人掛けのテーブルがいくつかある、という作りなのだが、ラーメンを頼む客は必ずカウンターに座る。

そして、連れ立ってきた客は絶対にラーメンを頼まない。つまり、ラーメンを頼む客は一人でやってくる。

何かのルールに従ってそのようになっているのではなく、私の観察によれば、そうなっている。

店の大将は、カウンターの内側の厨房に陣取り、主としてカレーのトッピングと、ラーメンのスープ作りを担当している。

初老、という歳の男性である。

厨房にはもう1名、助手がおり、こちらはカレーのライスの盛り付け、ラーメンの麺の茹でを担当している。

初老、という歳の女性である。

フロアには1名、担当者がおり、こちらは来店した客を席に誘導し、出来上がった料理を運び、食べ終わった器を片づけ、ている。

昔は会計もしていたのであるが、自動発券機が導入され、この業務はなくなっている。

初老、という歳の女性であるが、前2者と比べると、いささか若い。

この3人で一番偉いのは大将である。

カレーのトッピングであるエビフライを二つに切ってほしいという客の注文に応じるか否か。

カレーのトッピングであるエビフライを別皿に分けて盛り付けてほしいという客の注文に応じるか否か。

ラーメンを麺固めにしてほしいという客の注文に応じるか否か。

全て、大将が最終ジャッジを行う。

ところで、次に偉いのは厨房にいる助手である。

助手は大将のサポートを行うのであるが、基本的には大将からの指示を受け付けない。

いや、注文が入ると大将からの指示なんてなくても用意できてしまうくらいにしかメニューがないのだ。

その代わり、ではないのだが、助手は大将のやり方を結構頻繁に罵倒する。

曰く、注文が前後している。曰く、料理が出来上がったら出来上がったと言え。曰く、カレーが跳ねているから皿を拭け。等など。

そして、大将のみならず、フロア担当に対しても、頻繁に指示を飛ばす。

助手の方が大将より偉いのでは?という疑問を持たれた方がいたら、私の説明技量が不足しているせいである。

助手が大将を罵倒した場合、大将はそのほとんどを、うるせい!と一喝するのである。

しばしば、フロア担当者への指示についても、大将が訂正することがある。そしてフロア担当者は最終的に大将の指示に従うのだ。

このような状況で、私は大将と助手は夫婦なのではないか?と思っていた。

年の頃も違和感ないし、だいたい人(客)前で罵り合うのは、夫婦以外には考えられないではないか。

ところがある日、助手がこの店に姿を見せなくなった。

そして、フロア担当は助手となり、新しいフロア担当が採用された。

新しいフロア担当は中年女性である。

もちろん、私には何があったのか、知るすべはない。

大将と助手は夫婦でもなんでもない他人で、しゃしゃり出てくるその態度に大将が切れてクビにしたのかもしれないし、二人は本当に夫婦で妻がつかれたので仕事をやめたいとこぼし、大将がそれを承認したのかもしれないし、もちろん他の可能性だっていくらでも思いつく。

現象だけを記せば、助手へと昇格した元フロア担当は助手の仕事をこなしながら、新人のフロア担当のヘルプに入り、大将には敬語で話し、大将の機嫌も良くなった。

今まで、フロア担当と大将が話をするのは、業務的なやり取りに限られていたが、軽い冗談や雑談も交わされるようになった。

そんな状況が半年ほど続き、新しいフロア担当も職場に慣れ、元の助手が職場復帰しないことが固まったと思われた頃、私はこの地を離れた。

そして2年経って、私は再びこの地に舞い戻ったのだ。

あの店はどのような状態なのだろうか。

またあのラーメンを食べたい。

そう思いつつも、まだ行けていない。

ラーメンも他では味わうことのない独特なものなので、本当に楽しみにしているが、お店の状況はさらに私にとっての楽しみである。

元助手が復活している可能性もあるし、新助手の口が悪くなっている可能性もある。

新助手も去り、フロア担当が助手に昇格(?)しているかもしれない。

新しく加わっているメンバーがいるかもしれず、客層が変わっている(以前はおじさんメインだったのだが、若い女性が大半とか)可能性だってある。

そして、もちろん大将が辞めている可能性だってあるのだ。

そんないろいろな可能性を考えていて、というか妄想を楽しんでいて、現実の店舗に足を運ぶのを後ろ倒しにしている

リアルに打ちのめされる前に、もう少し妄想で遊びんでいたいのだ。

さて、大将が辞めているって店が無くなったってことでしょう?と思われるかもしれない。

そうではないのだ、この店が存続していることは疑いがない。

何故なら、このお店はチェーン店であり、同じチェーンのお店が引っ越してくる前のオフィスのすぐ近くにあり、店舗一覧からこの店が消えていない以上、閉店しているということはありえない。

一方でチェーンだったら、ここでしか味わえないラーメンは変ではないか、と思われるかもしれない。

これにも理由があり、端的に、チェーン店でラーメンを提供しているのはどうも、この私の大好きな大将と助手とフロア担当のいる、このお店だけっぽいのだ。

わたしが、現在の勤務地に何年居続けるのかは分からない。

そんな先のことよりも、何が変わったのか、を鋭敏に感じられる今を大事にした方がいいのかな、とそんなことを日々思ったりしている。

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