中学校3年生になって、アホの田中という社会の先生が赴任してこられました。
アホの田中、は生徒がつけたあだ名ではなく、自称です。
見た目は中年の冴えないおっさんなのですが、とにかくやたらと陽気でした(爆笑問題の太田さんをイメージされるといいのかも)。
私の担任で、イラクのクエート侵攻はこの先生から聞いた覚えがあります(どんな表情や話振りだったのかはまったく思い出せません)。
この田中先生、サッカー部の顧問になったのですが、いくつか、風変りな練習を取り入れられました。
その一つが、ハカ(みたいなの)を踊りながらグランドを1周するというものです。
ハカと言うのは、民族舞踊で、オールブラックス(ラグビーのニュージーランド代表)が試合前に踊っていることで有名です。
YOUTUBEに動画があります。
当時、アリナミンのテレビCMでやっていたので、ハカだと言われれば、ああなるほどね、だったのです。
とはいえ、思春期の中学生男子が、広くもない学校のグランドでハカを踊る姿は、各部活から嘲笑のまなざしとともに注目され、踊り手から不満が漏れ聞かれたのは当然の成り行きでした。
上級生になるほど、いきなり導入されたハカへの反発が強くありました。
ハカを踊ることがケガの防止に繋がるとか、筋力の向上に繋がるとか、そのような理由が示されず強制された(嫌なら部活を辞めちまえ、と陽気に笑いながら発言されたこともあったようです)ことが、余計にサッカー部員の反発を招いていました。
田中は自分が面白がるために生徒で遊んでいるという批判もありましたし、それは事実だったと、先生のその他の言動と照らし合わせて、私は思っています。
批判はあろうともそこは中学生、結局は先生の言いつけ通りにハカを踊り、そのうち慣れてしまったのか批判も聞かれなくなりました。
先生の言いつけを守ったおかげ、ではないでしょうが、三年生の最後の大会では、市の大会で優勝し、県大会に進み、そして県大会でも初戦に勝利しました。
そこで起こったのがゲータレード事件、です。
この事件の前ふりとして、試合前、対戦相手からクレームを受けたことがあります。
どうも、試合前にもハカを踊るよう指示されていたようで、相手の中学校の先生が怒って抗議してきたのです。
笑って受け流した田中先生。中学生の目から見ても、相手を小馬鹿にしているような笑いを浮かべていました。
そして試合後、勝った選手たちは、浮かれて騒いでいました。
田中先生も試合直後は、ヒャッホーだか、ウッシャーだか、大声で叫び、こぶしを突き上げて飛びあがっていましたが、トイレに行っていたのか、たばこでもふかしていたのか、不在にしたときのことでした。
水道で水を飲んでいた生徒たちは、浮かれ具合がヒートアップして、当時流行っていたゲータレードのロゴが印刷されたプラスチックのボトルに水を詰めて、お互いに掛け合っていました。
そこに現れたのが対戦相手の先生、その先生がサッカー部の面々を怒鳴りつけたのです。
怒った理由は、飲み物を粗末にしていたから。ゲータレードのボトルに入っているのが水道で汲んだ水だとは思わなかったのでしょう。
たまたま戻ってきた田中先生を目にした生徒たちはさぞ安堵したことでしょう。
普段、悪ふざけを肯定している大人が、遊んでいるだけだと説明してくれる大人が現れた、と期待したからです。
しかし、田中先生は案に相違して、一緒になって生徒たちを叱りつけます。
曰く、水をかけて遊ぶとは何事か、と。
この話の教訓は、悪ふざけは大人になっても止められない、そして他人の悪ふざけは、例え害がなくても、面白くない、です。
さて、安倍総理の所信表明演説の最中に、自民党の議員が立ち上がって拍手したことが問題視されています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160927-00000069-san-pol
いろいろと思うところはあるのですが、
まず、これってちょっと失敗した痛いパフォーマンス、程度の話だと思います。
演説なんざ、突っ込みどころを探しているだけで誰もまともに聞いてないんだろ?だったらちょっと目立つことしてみっか、みたいな発想でスベっただけではないかと。
次に、立ち上がったのは、きっと事前に示し合わせておいたからだと思います(自然発生的なものだ、という説明はいくらなんでも)。
これ、事前に情報が洩れなかったという意味で、阿部首相サイドの統率力あるいはリーダーシップの左証です。
そして失敗したパフォーマンスに、異例だから、という理由で抗議する野党の姿勢は、あまりにひどいです。
チャレンジする人を応援する、とかそういった姿勢が全くないことを公言しているようなものではないですか。
また、今後はもうしないと約束しちゃう自民党もなんだかな、と思います。
首相の呼びかけた海保、警察や自衛隊に敬意を表する、ことに対して、異論がないのであれば、スタンディングオベーションに参加した無かった人にこそ、自分はどのように敬意を示して伝えるつもりなのか、を説明する必要があります。
拍手じゃなくて足踏みが良かった、とか、いろいろな意見があり、議論を深めていくことこそ、言論の府に求められている役割なのです。
拍手や足踏みが、手や足のない障害者の方への配慮が足りないのであれば、歯をカチカチとかみ合わせて鳴らす、でもいいです。入れ歯の方が多そうなので、みんなで参加しやすいですよね。
民進党のように多様性を肯定する政党はみんなそれぞれのやり方で、わしはハゲているから頭を叩こう、わしは空っぽだから頭を叩こう、そんな意見があってもいいと思います。
とにもかくにも、批判だけしていても楽しい方にも、良い方にも、転ばないですよね。
転ぶとお墓に入っちゃう心配がある人たちには厳しい物言いかもしれませんが。