アメリカ大統領のトランプさん、その側近であるフリンさんが辞任してアメリカでは大騒ぎになっています。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM14H5R_U7A210C1MM0000/
その背景について少し振返ってみたいと思います。
まず、今回大統領になったトランプさんは、大統領になる選挙でヒラリー・クリントンさんと戦いました。
大統領選挙では、いろいろな混乱があったものの、ロシアが選挙を妨害している、という点が一つ問題になりました。
スパイ小説ではともかく、現実の政治です。他国ならともかく、大国アメリカの大統領選挙です。
ロシアは、トランプさんを大統領にするべく、あれこれ工作したと言われています。
その一つが、嘘のニュースをばらまくというものです。
トランプさんが大統領になることをローマ法王も望んでいる!みたいなニュースを流すと、信じる人が一定数います。後から誤報とされたって信じ続ける人は信じていますし、誤報というニュースを知らないままの人もいるわけです。
他にも、クリントンさんを応援する民主党、そこのメールをハッキングする、なんてこともしました。メールを勝手に読んで、公開してしまうわけです。
そうこうしているうちに大統領選挙が終わり、トランプさんが大統領になったわけです。
ここまでの話で問題になるのが次の2点です。
1つ目は、それって本当にロシアがやったことなの?という話です。
否定している人はほとんどいないので(当のロシアのプーチン大統領は否定していますが)、まあロシアが関与したのでしょう。
むしろ、世間が関心しているのは、もう1つの話。
ロシアは外野からトランプさんを応援しただけなのか、もっと具体的な見返りを期待して応援したのか、という話です。
前大統領のオバマさん、そしてその後継者であるクリントンさんはロシアには厳しく対応する、と思われています。
一方で、トランプさんはロシア寄り、と言われます。プーチン大統領と親しいという報道もあります。
そのため、よりロシアにとって望ましそうなトランプさんを応援した、というのが単なる応援説です。
これに対して、もっと具体的な見返りがあるから応援したのだ、という説もあります。
一番過激な説明では、ロシアがトランプさんの恥ずかしい写真を持っていて、いざというときにそれを元に脅して言うことを聞かせられるから応援したのだ、そうです。
このような背景の中で、当初のフリンさんの話に戻りますが、フリンさんは、トランプ大統領の選挙チームのお偉いさんです。
そして選挙期間中にロシアの駐米大使と連絡を取っていました。
時期を考えると、ロシアの応援に対して具体的な見返りを約束した、可能性があります。
フリンさんは当初、ロシアの人なんて会ったかなー、何を話したかなー、と言っていたのですが、これが嘘の説明だとばれて辞任した、とこういう流れです。
ある集団の代表が、その集団以外の利益を優先させることは許されません。
アメリカという集団の代表が、アメリカではなくロシアの利益を優先させることは許されないわけです。
集団以外の利益には、個人的な利益を優先させることも含まれ、舛添東京都知事が、東京都のお金を私的に流用したとして問題になったことが記憶に新しいところです。
個人の利益を優先させることは分かりやすいですし、非難を受けやすいです。
一方で、集団の利益を優先させる、というのは分かりにくい場合が多いです。
こちらは直近では民進党の蓮舫さんの国籍についての議論の中で出てきましたよね。
中国籍があるなら中国の利益を優先させる可能性がある、なんて主張がされていました。
ただ、集団の利益は、お金であれば分かりやすいのですが、具体的な政策に落としてみると、よく分からないことが多いです。
安倍政権は北朝鮮の関与によって成立した政権だ!という主張もありまして、日本の国益だけを考えればもっと強硬姿勢を取るはずだ、あの弱腰は北朝鮮の息がかかっている証拠である、なんていうわけです。
トンでも説だなーと思う一方で、明確に否定する根拠もないんですよね。
私がさらに問題だと思うのは、仮にロシアがトランプ大統領を望み、工作して成功したのであっても、そのトランプさんがロシアにとっていいこと、をするかどうかはよく分からないことにあります。
これは人間の行動と、その結果がどれだけ相関しているかについての考え方がはっきりでますよね。
国際紛争に関していえば、シリアからアメリカが手を引くことが、当面はロシアにとって望ましいのだと思いますが、長期的にどっちが得なのかは明確ではありませんし。
ただ、ロシアがアメリカの大統領選挙に関与したのだとすれば、珍しい事例であることは間違いありません。
多くの国が、その結果(長期的にロシアの利益になるのかどうか)を見守っているでしょう。
もちろん、日本も。