イメージとリアルにはずれがある。
日本が観光立国を目指すに当たっては、このずれを解消する必要がある。
解消の方向は大きく二つある。
一つはイメージをリアルに近づけることである。
そしてもう一つは、リアルをイメージに近づけることである。
例えば、日本とは侍と芸者と忍者と不眠不休のサラリーマンがいる国だと思われており、それを目当てにする観光客が世界各国から殺到しているのだが、そのどれも大変貴重であって、実際に目にすることは難しく、私たち日本人でさえ、ほとんど見たことがないはずだ。
イメージをリアルに近づける場合、海外のメディアに日本の現状(サムライなんていない)を宣伝してもらう、入国ゲートで日本では芸者は大金を支払わないとまず出会えないと書かれたパンフレットを頒布する、と言った方法が考えられる。
他方、リアルをイメージに近づけるためには、サムライや忍者を増やせばいい。
この忍者を増やすことがいかに難しいのか、をテレビが取り上げている。
というWebの記事を見た。
https://www.j-cast.com/tv/2017/06/02299643.html
正直、忍者はどうでもよいのであるが、忍者養成スクール「アストアクションスクール」が西東京市にあるとは驚いた。
これ、西東京市は全国屈指の忍者の輩出地域ってことだ。
しゃきしゃき体操やる前に、小学校の授業でも忍者になるための初歩を教えるべきではないだろうか。
なお、アストアクションスクールは体操教室であって、忍者を育てているだけではないので、忍者養成スクールと呼ばれることを、ご本人たちが歓迎しているのかよくわからない。
さて、日本の終戦記念日は、朝鮮半島の終戦記念日と同日でありながら、その内容は180度異なる、考えてみれば当たり前であるが。
その朝鮮半島を巡る緊迫は、とりあえず小休止しているようだ。
直近の騒動は、北朝鮮がグアムに向けて(正確にはグアム近くの海域に)ミサイルを発射することを計画している、と発表したことが契機の一つである。
この問題が、大変不謹慎ながら興味深いのは、北朝鮮からグアムに向けて放たれたミサイルが日本上空を通過するからである。
日本上空をミサイルが通過することには二つの問題がある。
まず、予定した通りの航路でグアムに向かわず、失速して日本に落ちてくる可能性がある。
これに対しては、日本のミサイル防衛システムで対応することになる。
具体的には、空中でミサイルを撃ち落とす、もっと言えば爆発させてしまう。
北朝鮮の発射したミサイルは空中でなくなってしまうのではなく、バラバラになるだけなのでその破片が落ちてくる。
それでも、ミサイルが直撃するよりも被害が少なくなる。
このケースでは、どの時点で日本に落ちてくる可能性が高いと判断して、迎撃するのか、が問題になる。
が、防衛省の判断の話なので、ここでは立ち入らない。
そして、これを前提にもう一つの問題を考えてみたい。
それは、日本上空を無事に通過そうなミサイルは撃ち落とす必要があるのか、ないのか、である。
グアム(アメリカ)からすれば、撃ち落としてしまいたい、であろう。
絶対にグアムに落ちてこない、という確証も信頼もない中、被害が生じる前にできることはしておきたいと思うのは当然だと思う。
アメリカから撃ち落としてほしいと要請を受けた場合、あるいは何もしないでほしいとお願いされなかった場合、を想定してみる。
アメリカの希望に従ってミサイルを迎撃することで同盟国アメリカに感謝される可能性が高い。
一方で、ミサイルを迎撃すると前述の通り、日本に破片が落ちてきて被害が生じる可能性がある。
わたし個人は、どんな要請があろうとも日本に向けられたミサイル、あるいはグアム住人に明確な被害の生じる可能性が確認されるミサイルでなければ迎撃すべきではない、と思う。
この意見が国民的な総意ではないことは承知しているし、国民的な総意が得られるよう議論を深めていく必要があるとも思っている。
しかし、今、この瞬間にでもミサイルが発射される可能性がある中で、その議論を深めるよりも先にしなくてはならないことがあると思っている。
それは、この判断を政府に一任することである。
少なくとも事後的に判断を非難されることがないようにしなければならないのではないだろうか。
長期的な議論の方向性としては、日本国民が全員、忍者としての修業をして、ミサイル迎撃で生じた破片を避ける、ということも考えられる。
そのためにも、早く、忍者と言えば、伊賀でも甲賀でもなく、西東京市、というイメージを全国に広めていくべきではないだろうか。